|
去年年末から「風邪を引いた」という患者さんが増えはじめ、今年になって予約のキャンセルが相次いだ。
来院した患者さんの中にも、お正月に家族全員で寝込んだという人が複数いるのである。
今までなら風邪を引く患者さんは「たま」だった。あっても年に数回、1人か2人というパターンだったのに、前代未聞である。
患者さん以外でも多発している。
「咳が抜けない」という人、「お腹がゆるゆる」という人がいるので、たぶん異なるウィルスに罹患していそうである。
どっちにしても、みなさんが長引いている。
前回のブログのとおり、5日までは元気いっぱいだった。
その夜、家に帰ってすぐに、冷え切った部屋で、(背中にストーブを置いて)裸で髪の毛を切った。
冷え切ったお風呂場でまず排水口の掃除をし、その途中で皮膚の内側に「冷気」が入り込んだことに気がついた。
翌朝にはしっかりと風邪を引いていた。
症例10「風邪 new1(2020)」で治療マニュアルを紹介した。その中のいくつかを順に試していった。
早く治すためには体力のあるうちに勝負するのがコツである。
熱々の野菜スープ、お風呂でガンガン温まって、湯たんぽを入れたお布団にくるまる。
発熱してウィルスと戦い、発汗で毒素を排泄するのが私の風邪の治療法なのである。
初期に効果的なのは、商陽(大腸経)から邪気を抜く治療である。喉には金粒( )を貼った。 |
|
商陽から邪気を抜く |
 |
|
|
喉の金粒 ① |
 |
|
|
|
|
1日休養することにしたけど、元気いっぱいで、家の中で働きまくった。夜には37.8度の熱が出たけど、思うように発汗してくれない。
翌日には「まるで治ったかのよう」になった。
元気いっぱいだったので、「仕事と家事だけの生活って、なんて楽なんだろう・・・」と、パンを焼き、ピザにもんじゃと、いろんな料理を作っては、ビールを片手に全豪オープンを観戦したり。風邪生活を楽しんでいたのである。
4日目の夜中、冷えて冷えて、目が覚めた。
そういえば年末ぐらいから、そんな夜が何度もあった。「冷え」が芯までもぐり込んでいるらしい。
自律神経が乱れて風邪を引いたのか、ウィルスが脳下垂体に憑りついて自律神経を乱すのか、どっちなんだろう?
映画「レナードの朝」みたいに、風邪が原因で嗜眠性脳炎になったらどうしよう・・・と恐れおののいた。
身体のどこかに潜んでいるウィルスを引っぱり出して、なんとかして発熱して、スッキリ素早く治したいと思った。
鼻は通っていたんだけど、鼻の奥に鼻汁が溜まっているのを感じた。後鼻漏である。鼻の奥に溜まっている鼻汁をウィルスごと引っぱり出そうと思った。
鼻づまりの特効穴、飛陽に銀粒( )を貼ったら、鼻水がジャージャー流れはじめた。 |
|
|
|
喉の上のほうを探ると、あちこちにゴロゴロと塊があった。リンパ節が腫れていたのだ。『こんなところに逃げたのか!』と、金粒( )を貼った。
狙い通りに(?)ウィルスが「出て」きて、風邪症状が現れた。 まだまだ元気いっぱいで、午後はテニスに出かけ、夜は治療室で全身治療をした。 |
|
喉の金粒 ② |
 |
|
|
温まりつづけたおかげで「冷え」は消えたけど、発熱して発汗したくても、あっても微熱程度なのだ。
何百回も風邪を引いたので、こういうスローウィルス的タイプが長引くことは経験済みである。
7日目、頻繁に咳が出るようになった。今回のウィルスは喉に憑りつくタイプだった。
無意味な「空咳」は苦しいし体力も消耗する。
空咳を抑えて痰の排泄を促すことができるツボがある。 喉の天突に金粒( )、郄門(心包経)に銀粒( )を、セットで貼った。
ずいぶん昔に発見した治療法だけど、久しぶりにやったら、自分でも驚くほどの劇的な効果があった。
咳の回数が激減したのだ。 |
|
|
|
2週目に入って、「元気」がどっかへ行ってしまい、体力の低下を感じるようになった。ウィルスが気管支に移動した。
違和感のある気管支の上にカマヤミニ( )を置いて、ゆっくり煙を吸い込んだ。
お灸の煙は喉や鼻の粘膜に効果があるのだ。
気管も広がるらしく、しばらくは楽になる。2日ぐらいつづけたら、ウィルスが気管支から撤退した。
(昔は閉め切った部屋で、もぐさをぼうぼう燃やして、煙を吸わせて喘息の治療したとのこと) |
|
 |
|
10日目、シングルスのラウンドロビンだったけど、何試合も走り回る自信がなくてキャンセルした。
午後にクラブに出かけてダブルスをやった。「病み上がり」と言いつつも、まだときどき咳が出たので、両腕の「冷え」にカマヤミニをしてみようと思い立った。
昔はよく腕から風邪を引いたものだったけど、今回も初めから腕の冷えが気になっていた。皮膚の下にスースーすき間風が吹いている感じなのだ。
両腕にカマヤミニをして、ついでに煙もゆっくり吸い込んだ。
なんと翌日、咳がピタリと止まり、鼻水も出なくなった。 |
|
|
|
来週はJOPの公式戦、京王オープンのシングルスにエントリーしている。ラウンドロビンで練習しようと思っていたのに。。。
今年は1回もシングルスをやっていないのである。
公式戦にぶっつけ本番はあまりにもヤバイ。焦りまくっていたら、試合に出ることを知ったおじさんたちがシングルスの相手をしてくれた。
ウィルスとの戦いは体力を消耗する。体力を取り戻すには動くのが一番なのだ。
スローウィルスタイプは厄介である。今度は声帯あたりに逃げ込んだらしく、声が割れてしまった。
完治まではもうしばらくかかりそうである。 |
|