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 症例32・傷、おでき、ヒョウ疸、褥痩、しもやけ
 <血行促進&お灸の熱でバイ菌を殺す>
いろいろな皮膚の疾患に有効
鍼灸学校に行っていた頃、盲腸の手術をした学生がいました。退院したあと、いつまでたっても傷口がじくじくして悩んでいました。
先生が傷の上に灸点紙をしいて、お灸の実演をしてくれました。とても気持ちが良かったとのことで、傷もすぐにふさがったそうです。
手術の傷跡が「数年たってもときどき痛む」ことがありますが、透熱灸が効果的です。縫ってすぐの傷口には直接灸のほうが即効性があります。
開業して数年は、患者さんの皮膚に不審なできものなどを見つけたときには、皮膚科に行ってもらってから治療をしました。でも、「癌細胞が熱に弱い」と聞いてからは、とりあえず、お灸をしてみることにしています。
 *関連ページ: 細菌やウィルスによる皮膚の感染症
症例5 いぼ ウィルス性のいぼはお灸でポロリ
症例16 水虫 お灸の熱で細菌が死ぬ
症例32 傷、おでき、ヒョウ疸、褥痩、しもやけ 退治と感染予防
症例36 帯状疱疹 鍼で血行促進、お灸でコロニーを撲滅
症例58 虫刺され 蚊、ダニ、ブヨ、チンクイ虫、スズメバチ、ノミ他
症例60 外耳炎 耳まわりの鍼で血行を促進
症例63 とびひ お灸の痒み止め効果と細菌退治
バイクで転んで、膝に大怪我
ずいぶん昔のことですが、バイク屋さんのツーリングで、マザー牧場の近くを走っていたときのことです。山道で調子に乗ってコーナーを攻めていて、カーブを曲がり損ねて山肌に激突しました。
バイクは無傷でしたが、ひざをざっくりと切ってしまい、救急車を呼ばれ、富津市の病院で11針も縫うことになりました。
ひざの皿(膝蓋骨)は大腿四頭筋の上に乗っかっています。お皿の上は薄い皮膚で覆われているだけ。筋肉がないので、ペロリと切れてしまうのです。骨が見えていたそうです。
(ジーパンが敗因でした。バイク用のパンツだったら、ひざの部分にパットが入っているので、無傷で帰れたはず・・・)
普段はほとんど病院に行かず、西洋医学のお世話になることのない私ですが、「縫いモノ」のときは別です。破傷風の注射を打ってもらい、抗生物質も飲みました。
細菌感染の恐れあり・・・
東京に戻ってきて、消毒と抜糸は近くの大学病院でやってもらうことになりました。傷口を見るのも怖くて、すべてお医者さん任せでした。
2回目に診てくれた若い先生が、「傷口のまわりが赤くなっているから、感染の恐れがあります。また抗生物質を飲んでください」と言いました。赤っぽくなってブワブワするのは、良くない兆候なんですって。
細菌感染すると、傷口がくっつかなくなってしまうと言うのです。骨まで見えている傷口がパックリ開いたままで生活する姿を想像して、ぞ~っとしてしまいました。
勇気を出して自分で治療することにしました。鍼で血行が良くなれば、治りがいいはず。もしかして、お灸の熱でバイ菌が死滅するかもしれない、と考えました。
傷口まわりのお灸は超快感
黒い糸で縫われている痛々しい傷です。たぶん、バイクのどこか出っ張った部分で切ったのでしょう。鉤型(横にした大文字のLの形)で、傷は深く、傷口は分厚く、すっぱりきれいな切り口ではありません。
皮膚が切られたことにより、知覚神経が遮断されていました。感覚が鈍く、膝全体が軽く痺れたような感じがありました。糸と糸の間、傷口のふちに鍼とお灸をしました。鍼は、腫れあがった膝全体にしました。
鍼を打つと、妙に痛く、いつものような気持ちよさはありません。
その点、お灸は熱さをあまり感じないので、ジュワッ、ジュワッともぐさが燃えるごとに、ものすご~く気持ちがいいのです。まさに至福の瞬間。いつもなら耐えられないような大きさでも平気でした。
寸止めにはしましたが、お灸の痕は残りませんでした。熱さを感じることと、やけどの跡が残ることには、不思議な相関性があるのかも知れません。(火渡りの術とか思い出してください)
傷の治りが良くなる
3回目の通院では、また別の医師でしたが、傷跡がきれいと誉められました。一週間で抜糸したあとは、傷跡が広がらないように、テープを貼るようにと言われました。
夏にはショートパンツやミニスカートをはきたい私なので、なんとかちょっとでも目立たなくなってほしい。その焦燥感から、テープ交換のついでに、ほとんど毎日お灸をしました。
3ヶ月たって、突然、お灸が面倒になりました。「面倒になる」のは「良くなった」という証でもあります。言わなければ誰にも気づかれないくらいに、傷跡は小さくなりました。お灸のおかげと思います。
自分に傷口治療をしてからは、患者さんにもやってあげていました。
「誰も信じないと思うんだけどさ、傷口のお灸、ほんとに気持ちいいよね~」と、みなさん、お灸のファンになります。
傷口まわりへの鍼は、かなり痛いが・・・
これも私のことなのですが、子どもたちに腹を立て、すごい勢いでコップを洗っていたときのことです。バリンとコップが割れて、右手の人差指の根元から親指の根元にかけて、ざっくりと切ってしまいました。
急いで救急病院に行って、7針も縫われました。そのときは、すぐに自分で治療をはじめました。
右手が使えないのでお灸が難しく、鍼だけで我慢しました。お灸は至福の境地ですが、鍼はかなり痛く、打つたびにビーンと痛みが走ります。
皮膚の神経が切断されると、知覚鈍麻、痛覚過敏になるようです。
山道での怪我と違い、清潔な水を使っていたときでしたし、すぐに傷口を覆ったので、細菌感染の心配はあまりなかったようです。医師に、傷の治りが早いと驚かれました。
薄いガラスでスッパリきれいに切れたせいもあると思いますが、今では、皮膚の傷跡はまったく見当たりません。
薬指の腹を切った患者さんがいて、抜糸したあとも「いつまでも痛みがつづく」とのことで、彼は自分でハリを打っていました。
おできの膿が出なくなる
コンピューター関係の仕事をしている患者さんです。目が見えにくくなるほどの首・肩こりで来院したのがおつきあいのはじまりです。
1995年1月、3年ぶりにやってきたTさん(当時35歳、男性)は、尾底骨の近くにできたおできにも悩んでいました。おできのために鍼に来る患者さんは、まずいないので、「ついでに」という感じになります。
医者には1年間も通っているのだけどちっとも治らず、下着に血や滲出液がついてしまうそうです。
血の滲んだおできの上に直接もぐさを載せて、熱さを感じるまでお灸をしたら、じくじくしていた傷が乾きました。それっきり、血や膿が出ることはなくなりました。
その後、何回かおできにお灸をやりましたが、残念ながら、おできそのものは小さくはなりませんでした。
ヒョウ疸を予防する
足の親指の爪を痛め、爪の横が膿んでしまった患者さんがいました。医師に「まだ、ヒョウ疸にはなっていないが、これからなるかもしれない」と言われたそうです。単純ヘルペスウィルスに感染しないと、ヒョウ疸にはならないそうです。
膿の出ている場所がかさぶたになっていたので、そこに熱さを感じるまで、お灸をしました。膿が止まって傷が乾きました。井穴とその周辺からの邪気を抜き、紫色だった指の血色がよくなりました。
焼き鳥の串で指を刺した患者さんがいて、傷口へのお灸をし、井穴から邪気を抜いたら、翌日には腫れも痛みもなくなったそうです。
褥痩(ジョクソウ)へのお灸
ある84歳の女性は、体重が重いのに筋力がなく、1日中ほとんど座ったっきりで、尾底骨のあたりに褥痩(ジョクソウ=床ずれ)ができてしまいました。午後になるとずんずん痛くなって、座っていられなくなるそうです。
褥痩の上にカマヤミニをしました。次の日、全然痛くならないので、褥痩を触ってみたら皮膚がすべすべになっていて驚いたそうです。
坐骨神経痛と痔のせいで、下半身のすべてが痛い」と訴えていたのですが、褥痩が治ったら、すべての痛みが薄らぎました。家族にカマヤミニをしてもらうようにしたそうです。
認知症や脳梗塞など、脳に障害があると、自分で自分の身体を動かすという発想がなくなります。同じ姿勢を長時間つづける結果、褥痩がおきやすくなります。ひどくなると、患部に穴があいてしまい、手術で取り除くしかなくなることにもなります。
彼女は動ける人でしたから、褥痩の度合いが軽くて、それで簡単に治ったのだと思います。
しもやけにお灸
冬になると、足の指にしもやけができる患者さんがいました。毎年の恒例でした。小さな糸状灸を1壮すえる程度の、簡単なお灸ですぐに治ります。
しもやけは、真っ赤になって腫れて、熱を持ちます。リウマチと同じく、このタイプの「炎症」は、冷えが原因です。
東洋医学には「陰極まれば陽となる」という言葉があるのですが、冷えすぎて起こる「炎症」です。
一般に、「炎症が起こっている部位を温めると、炎症が悪化する」と思われていますが、このタイプにはお灸に即効性があります。
しもやけが悪化すると、ぐずぐずに崩れて、潰瘍のようになります。早めに治しましょう。
とりあえず、お灸をためしてみる
尾底骨近くのおできや褥痩は、寝ている間や座っている間、長時間圧迫されつづけるので、血の巡りが悪くなります。指先などの体の末端には血液が回りにくいですし、傷や炎症などの障害物があると、よけいに血流が滞ります。
鍼は気の流れを呼びおこし、気が血液の流れを呼びおこします。「血」が患部を治療をするのです。
お灸は患部を温めることができるだけでなく、熱で細菌を殺すことができます。(実は、手技によっては「冷やす」こともできます)
ウィルスや細菌は生き物です。お灸で焼かれると死んでしまうので、感染症を防ぐことができるのです。
水虫は白鮮菌、たいていのいぼはウィルス性です。帯状疱疹もヘルペスウィルスⅢによるものです。直接灸をすると、あっという間に細菌やウィルスが死に、コロニーが崩壊します。
癌の原因はウィルスという説もあります。お灸を試して損はないと思います。
ただし、鍼は細菌やウィルスを運ぶ可能性があるので、注意が必要です。
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Updated: 2016/4/26 <初版 2005/11/14